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フィリピンで栄養教育を実践。国境を越えて通用する栄養学だからこそ実現できた、フィリピン栄養教育プロジェクト

この記事の3つのポイント

  • POINT 1 留学経験を生かした研究をしたいという学生の想いから、プロジェクトがスタート
  • POINT 2 英語の絵本を作成し、フィリピンのミリアム・カレッジ・グレード・スクールで発表
  • POINT 3 グローバル展開の可能性も視野に入れたフィリピン栄養教育プロジェクトの未来への展望

食生活科学科 教授 長谷川 めぐみ先生
食生活科学科 4年 秋本 美保さん

食生活科学科 食物科学専攻(2026年4月より食科学部)の秋本美保さんが卒業論文のテーマにフィリピンでの栄養教育を選んだのは、フィリピン・セブ島への語学留学がきっかけでした。ゼミの担当教員である長谷川めぐみ先生はバングラデシュで栄養教育を実践した経験があります。その二人が二人三脚で取り組んだプロジェクトは、現地の生徒たちに笑顔で迎えられました。プロジェクトの内容と今後期待される展開を、師弟お二人に語っていただきました。

三色食品群を英語で伝える絵本を作成

長谷川先生

秋本さんは3年生で私のゼミに入るとすぐに大学を1年休学し、セブ島へ語学留学したんですよね。

はい。私は実践女子学園中学校高等学校の出身なのですが、中高の先輩や友達が留学している姿を見て、自分も挑戦してみたいと思ったのがきっかけです。将来的にはカナダでワーキングホリデーに挑戦したいと考えていて、その準備として、まずはフィリピンで英語の基礎を身につけようと思い、セブ島へ語学留学しました。

秋本さん

長谷川先生

留学前に秋本さんから「卒業論文ではフィリピンの栄養について研究したい」と相談を受けました。私自身も過去にバングラデシュで栄養教育を実践した経験があったので、改めていろいろと調べてみたんです。そうした中で、日本国内の知人からフィリピンの知人の知人へとつながり、最終的に今回お世話になったミリアム・カレッジ・グレード・スクールの校長先生とのご縁が生まれました。同校は、幼稚園~小学校という年齢層の生徒たちが通う学校なので、栄養教育の内容もその年齢にふさわしいものにしようということで、絵本を使ったプログラムになりました。

日本で普及している三色食品群を生徒たちにわかりやすく伝えるにはどうしたらよいか色々と考えてできたのが、この絵本です。体をつくる基になる赤がGROW、エネルギーの基になる黄色がGO、体の調子を整える緑がGLOWで、それぞれの色を代表するキャラクターを作りました。それが3G Heroesです。絵も自分で描きました。

秋本さん

現地での発表は、生徒たちに好評

発表当日、現地の教室には長谷川先生がいってくださいました。私は現地には行きませんでしたが、Web会議システムを使って参加しました。英語でのスピーチは緊張しましたが、絵本を読み終わった生徒たちが拍手して盛り上がってくれる様子をパソコンの画面で見た時にはすごく嬉しかったです。最後には校長先生にまでお礼を言っていただいて、恐縮しました。

秋本さん

長谷川先生

現地の生徒たちはとても楽しそうに絵本を見てくれて、「美保に会いたい!」と言ってくれるほど、喜んでくれました。
また、絵本は学校図書館に寄贈させていただいたので、授業に参加していない生徒たちにも読んでもらい、栄養教育の一助になればうれしく思います。

グローバル展開を視野に、フィリピンでの取組継続を模索中

長谷川先生

栄養バランスのよい食事をすることが健康維持にとって大切なのは、どの国においても共通します。だから、栄養学は国境を越えて世界に広がるグローバルな学問と言えるでしょう。その中でも日本の栄養学や公衆衛生は高い水準にあります。この絵本にもある三色食品群の考え方は1950年代から日本の栄養教育で使われてきて、教育効果が確立されています。フィリピンでもこの考え方を普及させようという話が持ち上がり、日本とフィリピンの栄養士たちが内容を練って作り上げた栄養教育プログラムが2010年代からフィリピンの学校でも使われています。私はバングラデシュの学校でも生徒たちを対象として三色食品群を使った授業を行ったことがあります。内容は日本と同じなのですが、例として出す食品は現地で食べられている、子どもたちにもなじみのあるものにしています。

私もそこには気を使いました。自分がフィリピンで食べたものを思い出したり、日本に帰ってきて調べ直したりして、絵本に載せる食品を決めました。

秋本さん

長谷川先生

子どもたちに喜んでもらえたので、フィリピンでの栄養教育はなんらかの形で継続していきたいと思っています。校長先生も「今後も続けてほしい」とおっしゃってくださっているので、ミリアム・カレッジの中学生などを対象にした授業をするとか、セブ島の他の学校でも授業をさせていただくとか、方法を模索中です。また、フィリピンだけではなくもっと多くの国で栄養教育を実践して、世界の子どもたちの健康に貢献できたら嬉しいですね。