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「渋谷といえば、これ!」をつくりたい。学生2人が挑む、渋谷のお土産づくり

この記事の3つのポイント

  • POINT 1 外国人観光客が多く訪れる一方、ハチ公やスクランブル交差点を見て帰ってしまう人も多い渋谷。もっと街を巡ってほしいという思いから、「渋谷といえばこれ」というお土産づくりがスタート
  • POINT 2 モノとして持ち帰るだけでなく、渋谷の景色を見て楽しむ「体験」もできるお土産を目指し、万華鏡からテレイドスコープ、スマートフォン装着型へと試作を重ねて進化
  • POINT 3 企業と連携し、商品の仕様や安全性、自動販売機での販売方法まで検討しながら、卒業までの商品化に挑戦

人間社会学部 現代社会学科 4年 中條美優さん
人間社会学部 現代社会学科 4年 肝付実未さん

人間社会学部現代社会学科(現:ビジネス社会学科)4年の中條美優さんと肝付実未さんは、「渋谷といえば、これ!」と思ってもらえるお土産をつくろうと、万華鏡の商品開発に取り組んでいます。渋谷の街歩きを通して、渋谷区が抱える特有の課題感を感じ、外国人観光客に街を巡ってもらうための施策ともなるような商品を考え、企業と連携しながら試作と改良を重ねてきた2人。アイデアを形にするまでの試行錯誤と、商品化に向けた挑戦について聞きました。

「渋谷といえば、これ」というお土産をつくりたい

中條さん

 一番最初の始まりは、大学を卒業するまでに何か一つ取り組みたいなと思ったことです。3年生で篠崎先生のゼミに入って、先輩が商品開発などの活動をしていると聞き、「私もそういうふうに取り組んでみたいな」と思ったのがきっかけです。
 毎日通学している渋谷に外国人観光客がこんなにいるのに、「渋谷といったらこれ」という代表的なお土産が少ないなと思いました。浅草や東京駅には、その場所を思い浮かべるお土産があるのに、外国人が多くくる渋谷には、なんでお土産がないんだろうと疑問に思って。「じゃあ、自分たちで渋谷のお土産をつくっちゃおう」と思いました。

私はゼミに入るときに、「何をやりたいか」「何か成し遂げたいことはあるか」と聞かれて、「商品企画・開発をしたい」と挙げていました。
中條さんが「渋谷のお土産を開発したい」と言っていて、篠崎先生から「目指していること、一緒なんじゃない?」と声をかけてもらって、そこから一緒にやり始めました。

肝付さん

駅前だけで終わらず、もっと渋谷を巡ってほしい

中條さん

最初に、自分たちが渋谷の街を知ろうとフィールドワークをしました。
外国人観光客の流れを見ていると、ハチ公で写真を撮って、スクランブル交差点で写真を撮って、そのまま駅に向かう。本当に駅前だけで渋谷が終わってしまっているというか。
「もっと渋谷の良さはあるよね」「もっとほかのところも回ってほしいよね」という思いがあって、渋谷の街を回遊してもらうことを考えるようになりました。

スクランブル交差点やハチ公に人が集まって、写真だけ撮って帰ってしまうと、渋谷での消費にもつながりにくい。それも課題として解決した方がいいんじゃないかと思いました。
プロジェクトを始めた頃に渋谷についてたくさん調べ、渋谷区が出している資料も見ました。そこにも、回遊性をもっと高めていきたいということや、消費につなげたいということが書かれていたので、自分たちのプロジェクトにも落とし込んでいきました。

肝付さん

モノだけでなく、「体験」できるお土産を

中條さん

 外国人観光客が日本でどんなお土産を買っているのかを調べる中で、工芸品が人気だということと、体験型の観光への関心が高まっていることに気づきました。
万華鏡は外国人にも「kaleidoscope」として馴染みがあるので、親しみを持ってもらいやすいと思ったのが一番の決め手です。
 それに、日本のものづくりの技術の高さを外国人観光客に知ってもらいたいという思いもありました。細部までつくり込むことで、万華鏡の良さだったり、日本らしさだったりを表せるんじゃないかなと思って、万華鏡に決めました。
 最初は、ハチ公などをブロックで組み合わせたキーチェーンのようなものも考えていました。でも、それだと既にある商品に似てしまって、「オリジナル性がないよね」となって、やめました。

ハチ公はすでにいろいろな商品になっていますし、私たちは、あえてハチ公とは違うものをつくりたいという思いもありました。渋谷といったらハチ公、スクランブル交差点というイメージだけではなく、「渋谷といったら万華鏡」と言ってもらえるものを新しくつくり出したいと思いました。

肝付さん

試作を重ねるたびに、「本当にやりたいこと」が見えてきた

最初に企業さんにつくっていただいたのは、ビーズなどが入っている普通の万華鏡でした。
 でも、実際に見てみると、「これだと従来の万華鏡と変わらないよね」となったんです。そこで、「私たちが一番やりたいこと、目指していることは回遊することだよね」と話しました。
 「だったら、渋谷の街を見られた方が良くない?」「これだったらビーズしか見られないよね」と話して、次につくっていただいたのが、目の前の景色を見ることができるテレイドスコープ型でした。
また、「渋谷を詰める」というコンセプトの中で、渋谷での体験を形に残したいという思いもありました。テレイドスコープはその場で景色を楽しめても、見たものを残すことはできません。 「だったら、スマートフォンにつけて写真を撮れるようにしたら、形に残せるよね」となって、スマートフォン装着型へと進んでいきました。実際に試作品をつくってもらい、「もっとこうしてほしい」とフィードバックを伝えながら、何度も改良を重ねました。

肝付さん

中條さん

万華鏡そのものの形を考えるのと並行して、売り方も考えていきました。
「渋谷のお土産を詰める」というコンセプトを考えていたので、“詰める”から缶を思いつきました。篠崎先生から大学と連携している企業を紹介していただいて、缶に入れて商品にするための検討も始めました。

「いいアイデアがあれば商品になる」と思っていた

缶の大きさ一つをとっても、いろいろな長さや太さがあります。自動販売機で販売することを考えると、どの大きさなら落とすことができるのか。安全面では、万華鏡を覗いたときにけがをしないかなども考えながら、サイズや形を調整していきました。
 一番大変だったのは、万華鏡を缶に詰めるという、前例のない商品を商品化することです。
誰もつくったことがないので、どういうサイズにするのか、どうやって缶に入れるのか。自動販売機から落としたときに、どうすれば衝撃に耐えられるのかということも考えました。
 一つの企業さんだけではなく、複数の企業さんとの間に入って、「この企業さんはこう言っていたので、こういうふうにしてもらえますか」と調整しながら、自分たちが中心になって進めることも大変でした。

肝付さん

中條さん

私は、不安が一番大きかったです。
今までやったことのない商品開発で、今までにないものを売るので、「本当にこれ商品化できるのかな」とか、「本当に外国人観光客がこれで買ってくれるのかな」とか、先が見えない不安がありました。
最初は、「いいアイデアがあれば商品になるよね」っていう、結構浅はかな考えだったんです。でも、打ち合わせを進めていく中で、「自動販売機から落とすなら安全面も大事だよね」とか、利用する人の目線で考えなければいけないことが、どんどん出てきました。
 そういう小さい課題を一つずつ解決しながら、企業の方にアドバイスをもらって、良い商品にブラッシュアップしていきました。
 何かをつくるとなったときに、自分たちだけでは絶対にできません。周りの人たちの協力や、協力してくださる方の温かさを感じられたことも大きかったです。
 企業の方々も、最初は私たちのことを何も知らないのに、時間を取って、実際に試作品までつくってくださいました。学生の挑戦を応援したいという気持ちで一緒に協力してくださることは、「当たり前じゃないな」と感じました。

授業で聞いた「PDCA」を、実際にやってみて分かった

私は、PDCAサイクルの重要性をすごく学べたなと思っています。
自分たちで企画や計画を考えて、「こういうふうにしてほしいです」と企業さんに伝える。企業さんがつくってくださったものに対して、「もっとこういうふうにしてほしいです」とフィードバックや改善案を伝える。本当に何回も試作品をつくることを重ねました。
 PDCAサイクルを回すって、授業で学んだときは「なんだそれ」ってなったんですけど、実際に自分が体験してみて、学生生活でも、社会人になってからも、すごく大切なんじゃないかなと思いました。
 もともと商品企画や開発をやってみたいと思っていたので、実際に0から自分たちで話して、アイデアをつくって、形にしていく中で、「こういうことをつくり出すのって楽しいな」というのは、すごく実感しました。

肝付さん

卒業までに、本当に商品化したい

中條さん

私たちの最終的なゴールは、やっぱり商品化です。
 今考えているのは、SHIBUYA SKYのチケット売り場がある階で、自動販売機で売ること。それがこの万華鏡プロジェクトの一番の目標です。
卒業までに、そこまで行けたらいいなと思っています。

今はスマホの機種によって位置がずれてしまったり、全部写らなかったりするので、どの機種に対応させるのかなど、もう少し調整したいと思っています。その後は実際にSHIBUYA SKYの会社さんに商品を持っていって、「ここで売りたいです」と交渉したいです。
 このプロジェクトや商品自体の認知を広げることも今年の目標です。学内はもちろん、渋谷全体や外国人の方にも知ってもらえるようにして、実際に商品化したいと思っています。

肝付さん

※このページの掲載内容は、取材当時のものです