美学美術史学科 3年 Y.I
突然の怪我で直面した、できないことばかりの日々

私が最も力を注いだ挑戦は、剣道中の怪我からの復帰と、学業との両立です。私は中学校の頃から剣道を続けていて、大学に入ってからも他大学のサークルに参加したり、地元の道場で稽古をしたりしていました。剣道は、自分にとって長く続けてきた大切なものでした。
しかし、練習中の不慮の事故で脊髄を損傷し、3カ月半以上入院することになりました。左足に麻痺が残り、思うように身体を動かせない現実に強いショックをうけ、とてもつらかったです。怪我をした直後は、以前のように剣道ができない悔しさや、日常生活の動作さえ思うようにいかないもどかしさで、気持ちが前を向きませんでした。
特にリハビリの初期は、わずかに足を動かすだけでも痛みが強く、成果が見えない日々が続きました。できないことばかりに目が向き、何度も心が折れそうになりました。毎晩落ち込んでばかりいる自分を客観的に見たとき、「このままでは何も変わらない」「悔しいのに、何も行動していない自分が一番情けない」と感じました。その気づきが、少しでも前に進もうと気持ちを切り替えるきっかけになりました。
小さな変化を積み重ねることで、少しずつ取り戻した自信
気持ちを切り替えてからは、焦ってすぐに結果を求めるのではなく、今できることを一つずつ積み重ねようと考えるようになりました。リハビリでは、できなかった動作が少しずつできるようになるたびに、その変化をノートに記録しました。昨日より少し足が動いた、前より長く立てたという小さな変化を確認することで、少しずつ自信を取り戻していきました。

一番印象に残っているのは、リハビリ中に初めて自分の足で立てた瞬間です。最初は、ほんの数秒立つだけでも難しく、何度も失敗しました。それでも毎日の訓練を続けるうちに、少しずつ身体が反応するようになりました。ついに支えなしで立てたときは、涙が止まりませんでした。できなかったことができるようになる喜びと、「努力は形になる」という実感が込み上げてきました。
入院中は、リハビリだけでなく学業を続けることも大きな挑戦でした。休学せずに進学したいという思いがあったため、大学のオンデマンド授業を活用し、病室で勉強を続けました。リハビリと学業の両立は簡単ではありませんでしたが、計画的に取り組むことで、少しずつ生活のリズムをつくることができました。休学することなく進学できたことは、今の自分にとって大きな自信になっています。
支えてくれる人への感謝と、試合復帰への新たな挑戦
この経験を通して、家族や友人の存在の大きさにも改めて気づきました。家族は仕事の合間をぬって面会に来てくれ、友人たちも忙しい中でお見舞いに来て、励ましの言葉をかけてくれました。「焦らなくていいよ」と声をかけてもらったことも、心の支えになりました。
それまでは、どんなことも一人で抱え込みがちでした。しかし、入院中は思うように動けず、周囲のサポートを受けるしかない状況になりました。その中で初めて、「自分ひとりで頑張るのではなく、支えてくれる人と一緒に前を向けばいい」と思えるようになりました。人に頼ることや、支え合うことの大切さを実感できたことは、自分にとって大きな変化でした。
怪我を経験したことで、困難な状況でも自分の気持ちを立て直し、前向きに行動する力が身についたと思います。以前は結果を急ぐところがありましたが、今は焦らず、自分のペースで一歩ずつ進むことの大切さを感じています。時間がかかっても諦めずに続けることは、今後の人生でも必ず活かせる自分の強みだと思っています。
今後は、剣道の試合に復帰し、優勝することに挑戦したいです。怪我をする前と同じようにはいかないこともあると思います。それでも、この経験で得た粘り強さや、前向きに取り組む力を生かして、もう一度試合の場に立ちたいです。できなかったことが少しずつできるようになった経験を、次の挑戦につなげていきたいと思っています。

※このページの掲載内容は、取材当時のものです
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Y.I