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『モアナ』の世界からフィジーの幸福観へ。南太平洋文化に触れ“しあわせ=A×B”を考える

この記事の3つのポイント

  • POINT 1 映画を入口に、ポリネシア神話や“TATAU”のトリビアを通じて南太平洋文化を学び、「世界幸福度ランキング」上位のフィジーから学ぶ。
  • POINT 2 「しあわせ=A×B」を使い、「行動×つながり」「自由×経験」など、自分の大事にしたい要素を言葉にするワークを行い、ネガティブとポジティブを掛け合わせる視点にも触れた。
  • POINT 3 「つながり」「共有」「テキトー」「現在にフォーカス」という4つの習慣やビレッジの暮らし・ラグビー文化、日本との幸福度の違いから、「自分のしあわせ」や残り20,000日の過ごし方を考える時間となった。

モアナの海から始まった、“幸せ”をめぐる学び

映画『モアナと伝説の海』には、南太平洋の文化や価値観が数多く映し出されています。11月22日、渋谷キャンパスのグローバルラウンジで実施された「実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)」の特別プログラムでは、この映画を入口に、世界幸福度ランキングで1位となったこともあるフィジーの文化やウェルビーイングに焦点を当て、幸福観について学ぶ時間がつくられました。 講師を務めたのは、南太平洋で留学事業を行う株式会社アールイーカンパニーの皆さんです。ポリネシア神話に登場する英雄マウイが映画のキャラクターのモデルになっていること、「タトゥー」の語源がポリネシア語の“TATAU(タタウ)”であることなど、映画にまつわるトリビアが紹介されると、学生たちは「そうなんだ」とうなずきながら耳を傾けていました。
 映画で見たシーンが実際の文化とつながることで、南太平洋の世界をより身近に感じるきっかけになっていたようです。

フィジーの「しあわせ=A×B」という考え方に触れる

話題は次第に、「フィジーの人々は日常の中でどのように幸せをつくっているのか」というテーマへ移っていきました。長瀬トモヒロ氏は、ひとつの迷路をスクリーンに映し出し、「この中には“LIFE”の文字が隠れています」と説明しました。ゴールだけを追っていると見落としてしまうものでも、一度その存在に気付くと、急に見えてくる──そんな仕掛けでした。

 「自分の幸せに気付けるかどうかで、毎日の感じ方はずいぶん変わる」と長瀬氏は話し、日本の健康寿命から考えると、20歳前後の学生にはおよそ20,000日ほどの日々が残されていることに触れ、「この時間をどう過ごすかが大切だ」と続けました。その上で、自分の価値観を言葉にしてみる方法の一つとして、「しあわせ=A×B」というシンプルな公式が紹介されました。AとBに入る言葉に正解はなく、「その人が日常のなかで大事にしているもの」を当てはめて考えてみるという趣旨です。

 長瀬氏は説明のあと、「AとBには、どんな言葉が入ると思いますか?」と学生に問いかけました。教室はしばらく静かになり、学生たちはそれぞれ手元に視線を落として考えていました。その後、ぽつぽつと意見が挙がり始め、

「行動×つながり」
「自由×経験」
「自分を大切にすること×周りの支え」

など、学生の言葉が自然に共有されていきました。

 さらに長瀬氏からは、「不安×感謝」のように、ネガティブな要素とポジティブな要素を組み合わせる考え方も紹介されました。どちらか一方をなくそうとするのではなく、どちらも抱えたまま生きていくことを前提にするという視点は、多くの学生にとって新鮮だったようです。
 「しあわせ=A×B」という公式は、答えを求めるためのものというより、自分の価値観を言葉にしてみるためのきっかけとして機能していました。

フィジーの“4つの幸せの習慣”から見える日常

講義の後半では、フィジーの人々が大切にしている「4つの幸せの習慣」として、「つながり」「共有」「テキトー」「現在にフォーカス」というキーワードが紹介されました。家族や友人と過ごす時間を大切にすること、食べ物や時間を分け合うこと、完璧を求めすぎないこと、先の不安ばかりにとらわれず今に目を向けることなど、どれも特別な行動ではなく、日常の過ごし方に根付いたものです。

 具体例として、村(ビレッジ)での暮らしや教会での時間、カバと呼ばれる飲み物を囲んだ交流、ラグビー観戦での一体感などが紹介されました。こうした場面を通じて、「一人でがんばる」のではなく、「人との関わりのなかで助け合いながら生きる」という価値観が、自然なかたちで息づいていることが伝えられました。

 映画に描かれた南太平洋の明るい雰囲気が、単なるイメージではなく、こうした日常の積み重ねから生まれていることがわかると、学生たちはメモを取りながら静かに耳を傾けていました。講義の終盤には、自分の生活を振り返るようにノートを見つめる学生の姿も見られました。

 講義の最後には、自分の幸福度を1〜10で表す活動もあり、学生の平均は「8」という結果になりました。日本では6〜7を選びやすく、フィジーでは9〜10を選ぶ人が多いというデータも示され、文化による捉え方の違いが浮かび上がりました。

モアナからフィジーへ、自分の“しあわせ”を考える時間に

今回のプログラムは、映画『モアナと伝説の海』をきっかけに、南太平洋の文化やフィジーの幸福観に触れる内容でしたが、単に知識を得るだけでなく、「自分にとってのしあわせとは何か」を考える時間にもなりました。

 「しあわせ=A×B」という公式にどんな言葉を当てはめるのか。
 フィジーの4つの習慣を、自分の生活にどう置き換えられるのか。

 そうした問いは、一度のプログラムで答えが出るものではありませんが、学生たちがこれからの日々のなかで、自分なりの答えを探していくきっかけになったと言えそうです。モアナの物語から広がったこの学びの時間は、JWPのテーマである「ウェルビーイング」を、より具体的にイメージする手助けとなりました。

フィジーのお菓子でコーヒーブレイク。日本にはない味のチョコミント味やココナッツソースが入ったクッキーなど、食でもフィジーを感じました。

COMMENT

  • 文学部英文学科2年 S・Fさん

    『国際理解とキャリア形成』の授業で、“偶発性と衝動性が人生を切り開く”という言葉を聞いて以来、その考え方がずっと心に残っていました。今回のプログラムで触れたフィジーの幸福観は、その考え方に通じるものがあり、特に印象に残りました。  私は普段、よく考えてから行動するタイプですが、直感で動いてうまくいった経験もあって、本学への入学もその一つです。フィジーの人たちの“今を大事にする柔軟さ”や“テキトー”という感覚の中に、自分の衝動性を肯定してくれるような視点を感じました。これからの生活でも、感じたことを素直に受け止めて行動に移す姿勢を大事にしたいと思います。
  • 国際学部国際学科1年 A・Sさん

    国際学部の学生として、グローバルな視点からウェルビーイングを学びたいと思い、今回のプログラムに参加しました。これからオーストラリア留学を控えていることもあり、フィジーの幸福観に触れたことで“次に知りたい文化”がまた一つ増えたように感じています。  自分の幸福度を『7』と答えましたが、『10』と言い切れるフィジーの人たちの感覚をもっと知ってみたいと思いました。価値観の違いを実際に体験してみたくて、留学の機会を活かして、いつかフィジーにも行ってみたいと考えています。